崖の上のポニョ」公開初日に見てきました。
さすがに子ども向け、ということだけあって、劇場は子どもだらけ。歌を歌ったり、おしっこがしたくなったり、泣いたり、親に疑問をぶつけたり、かなり自由な雰囲気で映画が進んで行くわけですが、内容そのものも、まあ、子ども向けの童話、といった感じでした。今までの作品でいうと、トトロを見たときの感じと似てます。
話は、けっこうシリアスな要素も多いのですが、登場人物がイチイチ楽観的なので、まったく緊張感がありません。あまりの緊張感のなさに、見ている方も「まあ、これは幸せに解決するのだろう」という気持でゆったりと見られます。これが魅力なのか欠点なのかは、見ていただいて判断していただければいいのだと思いますが、少なくとも、楽しい映画だね、ということにはなると思います。
晩年の宮崎駿さんは、こういうものを作りたくなったのだな、と考えれば、貴重な作品なのだな、とも思えてきます。
ま、どうも表現が微妙なのは、私的にはちょっと期待はずれだったということがありますね。
宮崎作品は、やはりナウシカが一番優れていると思います。まったく見たことのない世界観、重厚な設定と魅力的なキャラクター、なにをとっても、未だに色あせることがない素晴らしい作品だと思います。なにより、原作が宮崎さん自身というのがいい。
ポニョは、原作は宮崎さん、ということになってはいますが、原案は人魚姫でしょう。それだけに、どこまでもイメージが拡散していくといったことはないのですね。
でもまあ、子どもはみんな、映画館から出て行くときに「ポニョポニョポニョ魚の子」と楽しそうに歌って出て行くのですから、きっと子どもたちにとっては、すてきな体験だったのではないか、と思うのです。