ここのところ、立て続けに伊坂幸太郎さんの作品を読んでます。
きっかけは、先日ご紹介した、「アヒルと鴨のコインロッカー」ですが。
さて、読んだのは、「重力ピエロ」「死神の精度」です。

「死神の精度」に関しては、映画が始まってますので、どうしようかな、と思ったのですが、原作を読んでから映画を見ることにしました。
偶然ですが、この順番で読んだのは正解でした。あるしかけがあって、この2つの作品を読むとそれが分かるのです。


「重力ピエロ」は、家族の話です。家族は、もともと家族なのではなくて、強い決意と意思と、お互いを思う気持で家族になっていくのだなあ、としじみしと感じるような物語でした。いいセリフがいくつかありましたねえ。お父さんとお母さんがいい。
「死神の精度」は、人がどう死ぬか=人がどう生きるか、の話です。短編の連作になっているのですが、話と話の間にいくつか仕掛けがあって、全体が一つの物語になっています。人間は、すれ違いばかりしている生き物。でも、なにもないよりはあったほうがいい。人はみんな死ぬ。それだけは間違いない。そして、その人が幸福だったかどうかは、死ぬ時にならないとわからないものだ。なんか、気になったセリフの意味をつなげて行くと、この作品のテーマが見えてきそうな感じですね。


全体を通して感じることなのですが、伊坂さんの描く人間関係は、ポジティブに感じられて、とても好みです。
村上春樹世代、と言われることが多いようですが、昔読んだ村上春樹さんの作品よりも、ずっとポジティブ。ポジティブなのに物悲しい。
文体の洒落た感じと読後感のギャップが、また魅力なんでしょうね。